- 細見 :
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濱口さんとの出会いは、私の前職である伊藤忠が開催した講演です。濱口さんは世界各国の企業と仕事をしていて、関わられたプロジェクトは1,000を超えている。「イノベーション」というテーマにおける権威です。濱口さんの講演に非常に感銘を受けて、一緒にお仕事がしたいと思いました。
- 濱口氏 :
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私はもともとファミチキが大好きで(笑)。私も様々なプロジェクトに関わってきましたけれど、細見さん率いるファミリーマートには、大きな可能性を感じました。様々な企業から「新しいことをやりたい」というお話はたくさん頂くのですが、実際には色んなしがらみがあったり、きちんと組織が設計されていないことが多くあります。ファミリーマートさんに関しては、「次世代化」に向けて本気で動かすという意志が、組織設計にもしっかりと現れていて、「これはすごい」と思ってお仕事をご一緒することにしました。
- 細見 :
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最初は「ファミリーマートとは何か?」という問いからスタートしました。「ファミリー」の定義、「マート」の定義、そこから考えよう、と。ファミリーマートは40周年という節目を迎えていますが、40年の中で世の中は変化し続けています。特に今、世界は大きく変わろうとしています。ファミリーマートには「あなたと、コンビに、ファミリーマート」という基本理念があります。「あなた」が指すお客さまや社会も変化している。どんな「コンビ」になっていくかも変化していく。その中でファミリーマートがどうあるべきかを考えていくことが大切なことだと思っています。
- 濱口氏 :
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更に、「ファミリーマートとは何か?」の前に、「コンビニとは何か?」ということも侃々諤々議論しました。「コンビニに行く」という体験は、他のお店に行く体験とはどう違うのか。コンビニに行く体験には「日常生活導線の中でのトレジャーハンティング」的な要素があるんです。訪れる度に新しい商品が出ているので、「こんなお菓子あったんだ」みたいな。例えばドラッグストアやスーパーと違って、コンビニは原則定価販売です。ドラッグストアやスーパーだと、お客さまは無意識の中で価格を比較しながらお買い物しているのです。でもコンビニはそうじゃない。モノに集中できるという、とてもユニークな場所です。コンビニは、とても便利で、ファンクショナルで、インフラ的役割を果たしています。でもその裏側には、「トレジャーハンティング」というエモーショナルな要素も持っています。