パンデミック終焉に続き長期に渡った金利の無い時代も終わりを告げ、新しい時代の環境も激しく変化しています。国内では、再成長を期した賃上げや円安を背景としたインバウンドの急拡大が景気を刺激する一方で、株式市場の乱高下や南海トラフ巨大地震懸念で消費マインドは足踏み状態と言える状況です。
しかしながら、サステナブルな社会の継続に価値観を置く消費者の哲学は一貫した強い潮流としてより強固なものとなっており、世界的な異常気象に伴う大規模な災害の多発を受けて、どのような具体的な行動を起こすのかという事が世界共通の課題になっておりファミリーマートもその例外ではありません。
我々が注力する「独自性のあるSDGsの活動」では、まず、拠点ビジネスとしての強みを活かし、地域での食の支え合いと食品ロスの削減を実現する「ファミマフードドライブ」の取り組みを推進しています。
愛知県の日進三本木町店で始まったこの取り組みは今年で4年目を迎え全国47都道府県の3800店舗に拡大しました。国内最大規模のフードドライブ事業として今後も注力をして参ります。
そして、小児がんについての理解を深めご家族の応援をする取り組みも今年で2年目となり、子供たちと一緒に開発を行ったレモネードを店舗で販売し売上の一部を寄付しています。
他にも、LGBTQの理解促進、障がいを抱える方々のお買い物のサポートなど、これからも地域に寄り添い、社会課題への取り組みをより一層推進して参ります。
ファミリーマートは、2017年に「国連グローバル・コンパクト」に署名し、サステナビリティ基本方針を策定しました。さらにサステナブルな企業経営を推進するために、優先的に解決すべき5つのマテリアリティ(重要課題)を設定し、目標を定めて取り組みを進めていきます。「環境配慮」「地域活性化」「魅力ある商品・サービスの開発」「信頼あるサプライチェーン構築」「働きがいのある組織・人づくり」の5つの実現を目指し全社でその実行性を高めていきます。
中長期目標として設定された「ファミマecoビジョン2050」では、温室効果ガス(CO₂排出量)の削減やプラスチック対策、食品ロス削減について、2030年及び2050年に向けた数値目標を掲げて推進しています。2023年からは「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」の理念に賛同し、2024年9月にコンビニエンスストア業界として初となるオリジナル商品に関するTNFDの情報開示を行いました。
ポストコロナのシンボリックアクションとして再開した「ファミマこども食堂」は、これまでに全国の店舗で約300回開催されるなど店舗が順調に増加し、他企業とコラボレーションした環境や健康に関する学習要素を伴った内容にも進化しています。
新たな試みとして地域社会の障がいのある方々が描いたアートを店舗のイートインに展示する「ファミマギャラリー」を開催し店舗を拡大しています。また、今年16年目を迎える「ありがとうの手紙コンテスト」など、次世代の健全な育成に貢献する活動にも積極的に取り組んでいます。
お客さまの声に真摯に耳を傾け、生活を豊かにする商品・サービスを提供しています。設置を推進するデジタルサイネージ(FamilyMartVision)を通じて、地域に寄り添ったコンテンツの提供も行っています。
お取引先さまとの公正で透明な関係性のもと、安全・安心な商品・サービスの提供と持続可能な原材料調達のための良好なパートナーシップの確立を目指します。
人権尊重を基盤に多様性を受容し、誰もが活き活きと暮らしやすい社会の実現のため、LGBTQの社内外への啓発活動や、障がいのある社員の活躍をサポートする取り組みなど、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。
これらのマテリアリティに対し、誠実かつ着実に取り組むことが、SDGsに対するファミリーマートが果たす役割そのものであると考えています。
ファミリーマートは、創業以来、地域社会を「ファミリー」(家族)と考え、便利さのご提供とともに、地域の社会課題の解決に取り組んできました。
これからも、時代の変化をチャンスと捉え、原点である「あなたと、コンビに、ファミリーマート」のコーポレートメッセージのもと、ステークホルダーの皆さまと「コンビに」なり、社会の「サステナビリティ」を実現する活動を推進して参ります。
2024年9月
代表取締役社長 細見研介