LGBTQ座談会 vol.1
左から、ファミリーマート マーケティング本部 サステナビリティ推進部 ダイバーシティ推進グループ 北原和佳、Uさん(エルビアンTV)、浜崎たつやさん(2すとりーと)、中川未悠さん
like Family
多様性をちからに。
誰もが活き活きかがやく未来へ。
ファミリーマートは、「like Family 多様性をちからに。誰もが活き活きかがやく未来へ。」のスローガンのもと、LGBTQに関しては「正しい知識と理解醸成」と「安心・安全な場作り」を2つの主軸として取り組みを進めています。
2022年7月に、同性パートナーに関する社内規定の改定を行い、同性パートナーがいる社員が法律上の配偶者と同様の社内制度や福利厚生を利用できるようになり、2023年4月には加盟要件を変更し、「事実婚」「同性パートナー」においても法律上の夫婦と同様に全ての契約タイプにて加盟申込みが可能になりました。
このたび、LGBTQ当事者として積極的に発信を続けている皆さんと座談会を開催。「正しい知識と理解醸成」をするとともに、「安心・安全な場作り」を行うため、企業としてどのようにサポートしていけば良いかなどについて話し合いました。
北原:本日は、ご参加いただきありがとうございます。まず初めに、皆様についてお伺いします。
Uさんについて
北原:Uさんは不動産業をされていらっしゃいますが、先日、LGBTQの方々を支援している団体と情報交換した際に、同性パートナーの方が家を借りるのは簡単ではないと伺いました。
Uさん:同性カップルであることを伝えたら断られてしまったり、ルームシェアしか選べなかったりして、男女のパートナーと比べると、選べる物件数もかなり変わってきます。
以前勤めていた不動産業の会社でもLGBTQに関する取り組みはしていたんですけど、YouTubeを通して発信することで、より多くの人に知ってもらえるように。相談窓口みたいな役割を担ってサポートを強化しています。
北原:どの地域で活動されているのですか?また、法人と個人とどちらの問い合わせが多いのでしょうか?
Uさん:主に東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県でサポートしています。
個人の方が多いですね。住む場所を探す際に、賃貸だとオーナーの方の資産を「借りる」ことになります。オーナーさんからすると、借りる人がどういう人なのか不安があると思うんです。
借りる側の窓口としてはもちろんですが、(貸す側の)オーナーの不安を和らげたり理解をしやすくするために、当事者としてサポートが必要になると感じています。
たつやさんについて
北原:たつやさんは、ゲイとしてとても積極的にYouTubeで発信されていますよね。
発信するその先に、こういうことを伝えたいという何か強い思いがあるのでしょうか?
たつやさん:最初は「何かを伝えたい」っていうことはなかったんです。ただ「楽しそうだからYouTubeをやる」っていう思いでやってました。
私が発信を始めた6年前は、ゲイであることを「理解してほしい」とか、「気持ちをわかってほしい」といった啓発を中心に発信されている方が多かったんですね。
私はどちらかというと、最初は発信そのものが「楽しそう」という思いだったんですが、発信しながらだんだん「理解してほしい」ではなくて、「見て感じてほしい」という思いが強くなった感じです。今の若い人たちの中で「自分がゲイなんじゃないか」と思った人に対して、「こんな人もいるよ」ということを伝えたいんですよね。
北原:SNS上での発信を続けられていると、色々な意見もあると思いますが、心ない言葉に傷ついたことはありますか?
たつやさん:私はゲイって言われて、傷つくんじゃなくて「売り」にしようと思っちゃったタイプなので、あまりそういったことはないのですが、「傷つかないようにするのが得意になっていってる」人たちも多いと思います。「傷つかない」じゃなくて、「傷つかないようにどこかで、口実を作ったり」とか、「わざと明るく見せたりしてる人」も多いと思っています。
都市部と比較して、地方に住む子どもたちは、私みたいな人が周りに多くはないと思うから、自分がゲイだって言えない人もいると思うし、誰に伝えればいいのか、自分は何なのかがわからずに悩みを抱えている人も多いと思いますね。
悩んでいる子に対しては「自分達が自分らしく生きてる所」を見て何かを感じて欲しいし、周りの方にはこうやって生きている自分達を応援してもらえると嬉しいなと思って発信しています。
中川さんについて
北原:中川さんは、ご結婚されるまではご実家で生活をしていらしたとのことですが、トランスジェンダーであることを、ご両親はどのように受け入れてくださったのですか?
中川さん:カミングアウトしたのは高校生の時だったんですが、中学生からすでにメイクしたり、ミニスカートを履いて外を歩いてたんです。
母は、「やっぱそうなんやな」みたいな感じで、理解してくれましたが、父は2、3ヶ月は目も合わせてくれませんでした。
でも、10代のときから「もう治療始めるから」と、ホルモン注射を開始して、納得させたって感じです。今ではとても理解してくれています。
北原:家族以外の周りの方はどうでしたか?
中川さん:周りには、すごく恵まれていたと思います。元々女の子の友達が多くて、幼小中高一緒の学校に通う友達がいたんですが、同じようにメイクの練習をしたり、みんなで恋バナしたりしてましたね。
普通に好きな食べ物の話をするとか、女の子の中に1人ポツンと(見た目が)男の子がいたって感じですね。
北原:学校は、制服でしたか?
中川さん:めちゃくちゃ学ランでした。恥ずかしい黒歴史なんですが(笑)。10~15年前だとLGBTQって言葉もまだ世に知られていなかったので、なかなか学校の先生とか大人には言えない状態でしたね。
北原:当時は先生には隠していたんですか?
中川さん:自分では隠してたつもりなんですけど、成人式に振袖を着て行ったとき、学校の先生に、「絶対そうなると思ってたで」と言われて、隠しきれてない部分はありましたね。
中川さんが講演会をするきっかけについて
北原:中川さんは、現在様々な場所でLGBTQに関する講演をされていますが、きっかけを教えてください。
中川さん:7年ほど前に性別適合手術をするまでを追ったドキュメンタリー映画に出演したことがあって、映画が公開されたときに当事者の方から「救われました」や、「勇気もらいました」っていう言葉をいただいたんです。その時に、「もっともっと悩んでる人のために傍にいてあげられるような存在になりたいな」と思ったのがきっかけですね。
北原:企業向けの講演もされるそうですが、やはり東京がメインなのでしょうか?また、講演される際は、実際に現地に行かれることが多いのですか?
中川さん:企業さんからの依頼は、東京の方が多くて、地方はまだ少ないですね。学校に対しては地方からの依頼もあります。やっぱり実際に当事者と触れ合って、こういう人が生身でいるっていうのを実感してもらった方が一番伝わるので、実際に現地に伺ってますね。
北原:生徒さんや先生方の理解や反応はどうですか?
中川さん:生徒さんはSNSで知ろうと思えば知れるし、自分でも発信している子もいて、「(私のことを)見てるよ」っていう声が多かったりしますが、先生方は、まだまだちょっと頭が固い人たちもたくさんいらっしゃいますね。
びっくりしたのは、学校によっても違っていて。ある地域の隣同士の高校なんですが、「(当校に)LGBTQの生徒は絶対にいません」という学校もあれば、生徒さんと廊下ですれ違ったときに「女の子同士で付き合ってるねん」とか、「僕は男の子が好きやねん、もちろん先生にも相談しててさ」と、オープンな学校もありました。
生徒さんは柔軟性があって、自分らしく生きられている方も多いですけど、先生や大人の方がまだまだ追いついていない部分がたくさんあって、世代間でギャップがあるなって思いますね。
次回は、ファミリーマートが抱える課題について、様々な意見をいただき、ディスカッションしていきます。
(LGBTQ座談会 vol.2はこちら)