審査員長
池上 彰氏
ジャーナリスト
【プロフィール】慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年NHK入局。報道記者や番組キャスターなどを務め、2005年に独立。
【講評】こどもたちの感謝の対象が自然、地球、木などにまで広がっていることが印象的でした。その陰には先生方の心のこもった指導もあるように思います。手紙の中には、校長先生が毎日一緒にお弁当を食べてくれる、転任した先生が修学旅行先に会いに来てくれたなど、こどもたちに寄り添う姿がたくさん登場します。暗い話題が多い昨今、このように素晴らしい先生方が頑張っておられる限り日本の教育は大丈夫、と感じ入りました。環境へのやさしさ、そして学校のやさしさに出合う審査となりました。
審査員
いとう みく氏
児童文学作家、日本児童文学者協会会員
【プロフィール】「糸子の体重計」で日本児童文学者協会新人賞、「朔と新」で野間児童文芸賞、「ぼくんちのねこのはなし」で坪田譲治文学賞を受賞。著書に「かあちゃん取扱説明書」「あしたの幸福」「真実の口」「車夫」シリーズなど多数。
【講評】人とのつながりが危惧される一方、私たち大人は「知らない人とは話をしてはいけない」などともこどもたちに伝えています。防犯・安全教育としてこれは必要なことですが、どこか淋しさも感じていました。そんな中、今年寄せられた手紙には、地域の人や通学途中で顔を合わせる人、マンションの管理人さんなど、名前は知らない〇〇さんへという感謝の手紙が多くみられました。こどもたちを見守ろうという大人たちがこんなに存在する。そしてそんな大人たちに感謝できるこどもたちがいる。そのことがたまらなくうれしかったです。
審査員
小峰 広一郎氏
株式会社小峰書店 代表取締役社長
【プロフィール】大学卒業後、出版関連会社に勤務、2018年より現職。1947年創立以来、子どもの本を専門に現在までに3,500点をこえる書籍を出版。総合的学習や調べ学習に役立つシリーズに意欲的に取り組み、第9回学校図書館出版賞・大賞を受賞した。
【講評】16回目を迎える本コンテストですが、年々こどもたちが環境問題を自分ごととして考えるようになってきているように感じます。興味をもったテーマに関して、自分で掘り下げて調べ学習を行ったことは、今後生きるうえでの糧になるのではないでしょうか。身近な人、大切な人への想いを綴るテーマでは、エピソードを表現力豊かに生き生きと描写し、自分自身の気持ちの変化もしっかりと捉え、全体的にレベルが高かったと感じました。こどもたちのあたたかくやさしい気持ちにあふれた多くの手紙に出合うことができたことに感謝しています。
審査員
野中 柊氏
作家・日本ペンクラブ会員
【プロフィール】ニューヨーク州在住中の1991年「ヨモギ・アイス」で海燕新人文学賞を受賞して作家デビュー。小説「小春日和」「猫をおくる」など、童話「パンダのポンポン」シリーズ(既10巻)、「本屋さんのルビねこ」シリーズ(既7巻)、 「ちいさな花 咲いた」など著書多数。エッセイ、翻訳なども手がけ、幅広い執筆活動を行っている。
【講評】毎年、世の中の出来事や動きが、こどもたちの手紙に反映されていることに驚かされます。こどもたちは高感度のラジオのように、大人たちの思いや言葉をキャッチして、やがて自分自身の声として、外の世界に表明していくものなのかもしれません。だからこそ、私たち大人は、何をどのように言うか、注意深く、思慮深くあらねばならないのだ、と思います。今回も、こどもたちの素直な「ありがとう」の声に、私自身、とても励まされました。心温まる手紙の数々に感謝しています。
審査員
岩崎 浩
株式会社ファミリーマート 執行役員 マーケティング本部 サステナビリティ推進部長
【講評】これまでご家族、友人、先生など生活に身近な方々を対象とした手紙が多かったのに対し、年を重ねるごとに地球、食べ物、住みやすい街づくりに貢献されている方々など、感謝の対象の広がりを感じます。毎年このコンテストを通じてこどもたちの手紙を読むことで、あらためて私たち大人が持続可能な社会づくりに向けた取り組みを進め続けることの大切さに気付かされます。ファミリーマートはこれからも、本コンテストを通じてこどもたちの未来に向けた成長を応援して参ります。