


審査員長
池上 彰氏
ジャーナリスト
【プロフィール】慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年NHK入局。報道記者や番組キャスターなどを務め、2005年に独立。
【総評】ありがとうの手紙コンテストは、回を重ねて17年目を迎えました。手紙にはその年を象徴するものが数多く登場します。米問題、記録的な猛暑などを通して、こどもたちはいろいろなことに気づき、考え、当たり前だと思っていた日常への感謝を綴っています。一方、17年にわたって変わらないのは、こどもたちを思う家族、先生方、地域の方々の愛情です。そして日々自分を支えてくれる方たちへのこどもたちの感謝の気持ちです。普遍的な愛情を深く感じさせてくれた審査となりました。

審査員
いとう みく氏
児童文学作家・日本児童文学者協会会員
【プロフィール】「糸子の体重計」で日本児童文学者協会新人賞、「朔と新」で野間児童文芸賞、「ぼくんちのねこのはなし」で坪田譲治文学賞を受賞。著書に「かあちゃん取扱説明書」「真実の口」「あおのいえ」など多数。
【総評】たくさんの手紙を読んでいると、その年の特徴のようなものに気づかされます。2025年でいうと「米」でしょうか。一方で、身近にいる大切な人(もの)にあてた手紙も多くありました。モチーフは違えども、胸に残った手紙に共通していたのは、エピソードが綴られている、ということです。そうした手紙には人の体温を感じます。残念ながら入賞しなかった手紙にも、素晴らしい作品がたくさんあり、審査会は悩ましく、そしてうれしくもありました。

審査員
小峰 広一郎氏
株式会社小峰書店 代表取締役社長
【プロフィール】大学卒業後、出版関連会社に勤務、2018年より現職。1947年創立以来、子どもの本を専門に現在までに3,500点をこえる書籍を出版。総合的学習や調べ学習に役立つシリーズに意欲的に取り組み、第9回学校図書館出版賞・大賞を受賞した。
【総評】今年は特に、地域の人々や地域社会に感謝の気持ちを伝える作品が例年以上に多かった印象でした。地域について自分で調べ、学び、成長しているこどもたちの姿が目に浮かぶような、素晴らしい手紙が数多くありました。「ありがとう」の気持ちをもつことは、持続可能で心豊かな社会の実現につながる大切な精神です。手紙を書くからこそ気づいた想い、手紙だからこそ伝えられる「ありがとう」に出合うことができてうれしく思いました。

審査員
野中 柊氏
作家・日本ペンクラブ会員
【プロフィール】ニューヨーク州在住中の1991年「ヨモギ・アイス」で海燕新人文学賞を受賞して作家デビュー。小説「小春日和」「猫をおくる」など、童話「パンダのポンポン」シリーズ(既10巻)、「本屋さんのルビねこ」シリーズ(既7巻)、 「ちいさな花 咲いた」など著書多数。エッセイ、翻訳なども手がけ、幅広い執筆活動を行っている。
【総評】こどもたちの心は、世の中のありようや、大人たちの生き方を映しだす鏡だと思います。その曇りのなさに、はっとさせられることも多いのですが、今年も「ありがとう」の手紙の数々に、今という時代や大人たちの姿がくっきりと現れているのを感じました。そして、こどもたちが借りものではない、自分なりの言葉で━━幸せなときのみならず、つらいときや悲しいときも━━「たった今、生きていることの素晴らしさ」を伝えてくれていることに、私自身、大いに励まされ、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

審査員
大澤 寛之
株式会社ファミリーマート マーケティング本部 サステナビリティ推進部長
【総評】こどもたちが日常の中で感じたことを、飾らない言葉で一生懸命に綴った手紙の数々。整った文章かどうかよりも、その言葉の奥にある「素直な心」がダイレクトに伝わってきて、胸が熱くなりました。こうした純粋な想いを真正面から受け止める機会をいただけたこと、大変ありがたく思います。 そして、 手紙を通じて感謝を伝えることの大切さが今の時代にも求められている証として、2025年は新規でご応募いただいた学校が増えたことも嬉しく思います。多くの方々に支えられている本コンテストを長く継続し、こどもたちの豊かな心を育む一助となれるよう努めてまいります。