~コンビニ冷凍食品の進化とは?~
「冷凍庫にストックしてるもの」といえば、何を思い浮かべますか? 食卓の「あと一品」になるお惣菜や、多めに炊いた保存用のごはん…。少し前までは、そんなイメージが強かったかもしれません。しかし、「急速冷凍」により解凍時の風味を保つ技術をはじめ、冷凍に適した加工、解凍後も美味しさが続く調味、レンジ調理に対応したパッケージといった多岐にわたる冷凍技術の革新によって、今やその認識が大きく変わりつつあります。今回は、進化する冷凍食品のトレンドを深堀りしてみたいと思います。
直近3年間の全国売上TOP3を見てみましょう。2023年は「1食完結ごはん」は1位のラーメン「麺屋こころ監修 台湾まぜそば」だけで、2位、3位はおつまみ系でしたが、2024年に入ると1、2位が「一食完結ごはん」となり、2025年にはトップ3すべてを「一食完結ごはん」が独占する結果となりました。特に今年1位の「香酢が効いた旨辛たれビャンビャン麺」は、SNSで「ウマすぎる!」と大きな話題となり、多くの方に支持されました。この変化は、単なる一過性のブームに留まらない、大きなトレンドと言えそうです。
「冷凍食品」と聞くと、買いだめして「いざという時の保存食」と考えている人が多いのではないでしょうか。しかし、最近はそうした固定観念が変わりつつあります。アンケート調査によると、「冷凍食品を買ってすぐに食べる」と回答した人は全体の38%。オフィス街で買い物をする人に限ると、43%が「すぐに食べている」という結果が出ています。
このことから、冷凍食品はもはや「保存食」としてだけではなく、「今すぐ食べたい、おいしい食事」として選ばれていることがわかります。冷凍食品の進化によって、私たちの食生活もより手軽で便利なものに変わってきているのかもしれません。
~冷凍麺の王者、「麺屋こころ監修台湾まぜそば」の熱狂~
過去3年間の冷凍食品リピート率を見てみると、最も高かったのは「麺屋こころ監修台湾まぜそば」でした。特に年間12回以上も購入する熱狂的なファンが約8%も存在するという事実は他の商品を圧倒する数値であり、単なるヒット商品を超えた「絶対的なファン」層が存在することを示しています。
この高いリピート率は、「一度食べたら忘れられない中毒性」がある味の証でしょう。有名店の監修という信頼感に加え、家で手軽に専門店の味が楽しめるという利便性、そして何よりその強烈な旨みが、消費者の心を掴んで離さない要因と考えられます。
同様にリピーターが多い「濃厚だれがもちっと麺によく絡む汁なし担々麺」も、濃厚なタレと麺の組み合わせがもたらす満足感が、リピートに繋がっていると推測できます。
一方、「香酢が効いた旨辛たれビャンビャン麺」は、まだ発売されたばかりの為、3年間の累計ではランク外となりましたが今後のリピート率順位がどう変化していくか非常に興味深いところです。
ファミマルKITCHEN 麺屋こころ監修
台湾まぜそば
ファミマルKITCHEN 濃厚だれがもちっと麺によく絡む
汁なし担々麺
ファミマルKITCHEN にんにくと唐辛子の旨み
ペペロンチーノ
※対象データ(ヘビーユーザー):「冷凍食品」に関するアンケート(2025年7月)ファミペイ会員3,000人回答者の内1,506人
~意外な人気商品と食生活~
ここからは、冷凍食品のヘビーユーザーに焦点を当て、その消費行動をさらに深く掘り下げてみましょう。冷凍食品のヘビーユーザーは、属性別に見ると、どのような冷凍食品を愛用しているのでしょうか。
直近(2025年7月)のデータを性年代別に見てみると、単なる売れ筋ランキングだけではない、客層別のライフスタイルが浮き彫りになりました。
ランキングを性別・年代別に見てみると、その違いが鮮明に浮かび上がってきます。 例えば、女性の20代以下は麺類や唐揚げといった、調理の手間が少なく満足感のあるメニューが人気です。これは、仕事やプライベートで忙しいライフスタイルを反映していると言えるでしょう。
一方、女性の30~40代では、枝豆やブロッコリー、刻みオクラといった「そのまま使える」野菜が上位にランクイン。多忙な中で、調理の時間を短縮し、手軽に食事の品数を増やしたいというニーズが伺えます。
男性に目を向けると、20代以下は麺類や肉料理といったガッツリ系のメニューを好む傾向が見られます。この点は同年代の女性と似ていますが、特に「にんにくと唐辛子の旨みペペロンチーノ」のようにパンチの効いた味付けや、たんぱく質がしっかり摂れる商品が人気です。
また、50代以上の男性は、枝豆やチャーハン、餃子といった定番の冷凍食品に加え、「ブルーベリー」や「パイナップル」などのフルーツがランクイン。健康志向の高まりや、手軽にスムージーなどでフルーツを摂取したいといったニーズも見て取れます。
70代以上は、男女ともに「レンジで手軽に」調理できる商品が人気です。たこ焼きやナポリタン、大学いもなど、懐かしさやホッとする味わいのメニューが上位に挙がっています。これは、調理の手間を省きつつ、食を通じて日々の楽しみや心の満足感を求める傾向があることを示しているでしょう。
~冷凍食品の「ヘビーユーザー」が求める「もっと」とは?~
冷凍食品のラインナップはどんどん増えていますが、それでもヘビーユーザーの冷凍食品への期待は尽きません。「冷凍食品への要望」を聞いたところ、「品揃え・種類」の拡充が40%と最も多く、特に要望が多かったのは、麺類(パスタ、ラーメン、焼きそば)のさらなるバリエーションや、晩酌のお供にぴったりなおつまみ系惣菜でした。
また、主食と主菜が一つになったワンプレートメニューを求める声も多く、ただ手軽なだけでなく、まるで自宅でちょっとした外食気分を味わえるような、満足感の高い食事体験を求めていることがうかがえます。
さらに、野菜やフルーツなどの「素材系食品」の拡充を望む声も多数ありました。これらは調理の手間を省きつつ、自身の好みに合わせたアレンジや、健康的な食生活をサポートするために活用されており、冷凍食品が「献立の救世主」や「食卓のベース」として、日々のあらゆる食事のニーズを賄う存在になることを期待していることが見て取れます。
最後に、冷凍食品のヘビーユーザーを対象に、購買データ(バスケット)とアンケート回答を組み合わせて生成AIでペルソナ分析をしてみました。この分析から、都心で働くビジネスパーソンから住宅地で暮らすファミリーまで、消費者が冷凍食品に求める価値は多岐にわたることが明らかになりました。購買シーンや属性別に、どのように冷凍食品を暮らしに取り入れているのか、その具体的なペルソナ像を通じて考察します。
属性: 30~60代の都心に勤務する会社員。
主な購買時間: 平日の仕事帰り、休日の日中
利用目的: 疲れて帰宅した後の手軽な食事。調理の手間を省くことが最優先。
購買傾向: 麺類、ご飯もの(炒飯、ピラフ)を中心に、手軽なメインディッシュをリピート購入。
属性: 20~60代の都心に勤務する会社員
主な購買時間: 平日の仕事帰り、休日の午前中
利用目的: 忙しい日常での時短と、健康への配慮を両立させること。
購買傾向: 主食に加えて、冷凍野菜や冷凍果物、惣菜も購入。美容健康飲料やデザートもよく買う
属性: 会社員、パート・アルバイトなど。
主な購買時間: 平日の仕事帰り、週末の昼間
利用目的: 手軽に高品質な食事を楽しみたいという欲求と価格へのこだわりを両立させること。
購買傾向: おかず、おつまみ、ご飯もの、麺類など幅広いジャンルの冷凍食品をバランス良く購入。ストック用や家族用など、多様なニーズに合わせて購入している。容器のまま調理できる商品や、味にこだわりのあるプレミアム商品を好む。
属性: 会社員、パート・アルバイトなど。
主な購買時間: 平日・休日を問わず、主に昼間から夜にかけて
利用目的: 家族の食事やお弁当の準備など、家事の時短と、食費の節約を両立させること。
購買傾向: 主食(麺類、炒飯、ピラフ)から、冷凍野菜、おかず、おつまみまで幅広く購入。冷凍野菜や冷凍果物といった、健康を意識した素材系の購入が目立つ。一度に複数の冷凍食品をまとめ買いする傾向がある。
属性: 会社員、シニア世代など。
主な購買時間: 平日の夕方以降や、週末に利用。
利用目的: 食事の準備にかかる手間や時間を最小限に抑えること。特に、洗い物を減らすなど効率化を強く意識。
購買傾向: 1品で完結するメニューを好む。レンジ調理可能で、そのまま食べられる容器に入った商品を高く評価。大容量パックや複数個入りの商品も購入し、ストックしている傾向がある。
属性: 会社員、パート・アルバイト、専業主婦(主夫)など。
主な購買時間: 平日・休日を問わず、朝から夜まで幅広い時間帯で利用。特に夕食や朝食の準備を想定した購入が多い。
利用目的: 家族のため、特に子どものお弁当や手軽な夕食を準備するための時短。美味しさだけでなく、健康や栄養バランスも重要視。
購買傾向: 冷凍野菜や冷凍果物といった素材系の購入が非常に多い。パスタ、中華麺、炒飯など、家族が喜ぶ主食系もよく購入。惣菜系は、お弁当のおかずになるような小分けの商品や、レンジ調理で簡単に用意できるものを好む。
かつての「保存食」というイメージは変わり、冷凍食品は私たちの「食卓の主役」へと進化しました。時短や健康、本格的な味わいなど、多様なニーズに応え続けている冷凍食品は、もはや家庭の冷凍庫に欠かせない存在です。気がつけば、家庭の冷蔵庫の冷凍庫スペースが占める割合はどんどん大きくなっています。それは、冷凍食品の進化が私たちの暮らしそのものを変え、より豊かにしてくれることへの期待が、高まり続けている証拠と言えるでしょう。ますますの進化が楽しみですね。
調査対象: ファミマルKITCHEN 冷凍食品
調査期間: 2023年1月~2025年7月
調査データ: 全国のファミリーマートにおける販売数量実績
アンケート: 「冷凍食品」に関するアンケート(2025年7月)、ファミペイ会員3,000人回答と同月のID-POSデータ