寒い季節、無性に食べたくなる「濃厚」で「クリーミー」な味わい。これを満たしてくれるのは、冬のあったかグルメ「スープ・グラタン・ドリア」ではないでしょうか。
本レポートでは、この共通する魅力を軸に、それぞれのグルメがどのように消費者に選択されているのか、データから深掘りしてみます。
昨年秋~冬のID-POSデータから「スープ・グラタン・ドリア」の購買データを見てみると、スープ・グラタン・ドリアともに女性の構成比が非常に高く女性の支持が高いことがわかります。この支持率は、中食全体の顧客構成比と比較しても約2割増であり、女性からの顕著な支持が示されています。年代別では、特に40代と50代の支持が最も高い傾向にあります。
一方、スープは、グラタン・ドリア以上に女性構成比が高く68.4%を占めています。
年代別のデータを見ると、グラタン・ドリアよりも20代、30代の構成比が高まり、幅広い年代に支持されていることが分かります。手軽な栄養補給や体調を気遣う一品、あるいは食事のプラスワンとして、スープは他のカテゴリに比べて女性の関心が特に高いことを裏付けています。
寒い季節にスープ・グラタン・ドリアが購入される時間帯は、「昼過ぎ」が最も多くランチの主役やプラスワンとして選ばれているようです。
さらに、朝と夜に目を向けて両者を比較すると個性が際立ってきます。
スープは「朝」の割合が高く、グラタン・ドリアは夕方以降の購入比率で高い構成比を示しています。
朝の「手軽な温活・栄養補給」をスープで、夜の「しっかりとした満足感」をグラタン・ドリアで、といった役割の違いが見られます。
温かいメニューを食べたくなる心境を調査したところ、両者の役割の違いが明らかになりました。スープは、「寒い日、冬の時期」(70.5%)が圧倒的に高く、続いて「胃に優しく、あっさりしたものが食べたい時」(46.7%)、「メインの食事にもう一品加えたい時」(43.4%)、「温かいもので癒されたい時」(43.2%)など、多様なニーズが挙がりました。スープは、体を労わるサポート役と、心を癒す存在という二面性を持っていると言えるでしょう。
一方、グラタン・ドリアは、「幸せな気分になりたい時」(51.1%)が最も多く、「寒い日・冬の日」(49.6%)が続きます。寒い季節に、心の満足感やご褒美を求める時に選ばれていることがわかります。
サイドメニューとしての役割を担うことが多いスープは、「ライス・おむすび」(60.0%)、そして「パン・バゲット」(58.0%)といった主食との組合せが圧倒的な支持を獲得しました。
これは、スープが「温かい一皿」として、ごはんやパンといった主食とセットで楽しむスタイルが定着していることを示しています。
一方、主食にもなり得るグラタン・ドリアの相棒は、「サラダ」(45.6%)が最も多く、次いで「パン・バゲット」(38.8%)が選ばれています。グラタン・ドリアを献立の主役とし、サラダなどの副菜でバランスを整えるスタイルが主流であることがわかります。
スープ・グラタン・ドリアと一緒に飲みたいものは「お茶(緑茶・麦茶・ウーロン茶など)」がトップでした。濃厚なあったかグルメの味わいをすっきりと整え、より美味しく引き立てる存在として、渋みや香りのあるさっぱりとしたお茶が選ばれていると考えられます。
グラタン・ドリア/スープ共通して
順位 | 飲み物 |
---|---|
1位 | お茶(緑茶・麦茶・ウーロン茶など) |
2位 | 水・炭酸水 |
3位 | コーヒー |
「スープ」「グラタン・ドリア」を食べて「最高に幸せ!」と感じるのは、どのような瞬間なのでしょうか。アンケート調査で寄せられた多くの声から、それぞれのグルメが持つ異なる魅力と、消費者が心を掴まれる瞬間が明らかになりました。
スープの幸せは、「体が温まる」「ほっとする」というキーワードに集約されます。「寒い日に一口飲んで、冷えた体が中から温まる瞬間」に幸せを感じるという声が最も多く、その温かさは「心と体に染み渡る」と表現されました。
「カップに入ったスープのあったかさが冷たい手を温めてくれる瞬間」
- 30代女性「体が温まって、ホッとする時」
- 20代女性「冷えきった身体が、あったかいスープを食べてあったまった瞬間」
- 男性・40代グラタン・ドリアの「幸せの瞬間」は、食べる前から始まっているようです。
「こんがりとした焼き色」「とろーり伸びるチーズ」といったビジュアルに期待が高まるという声が圧倒的多数を占めました。その他、「あつあつを頬張る瞬間」が好き、という意見も多く、その熱さとともに、香ばしいチーズとクリーミーなホワイトソース、そしてマカロニやご飯が一体となった濃厚な味わいを、まさに五感で楽しむ「ご褒美」として感じているようです。
「こんがり焼けたチーズをスプーンで崩す瞬間」
- 40代男性「スプーンですくった時にチーズがトロッとなっているのを見た時」
- 20代女性「あつあつのドリアをふーふーしながら食べる時。」
- 60代男性数あるグラタン・ドリア、スープのバリエーションの中で、人気の種類や具材についても調査しました。
スープ部門では、濃厚な魚介の旨味が溶け込んだ「クラムチャウダー」が2位以下に大きく差をつけ支持率30%でトップに立ちました。濃厚でクリーミーな味わいによる高い満足感と、魚介の旨味と具材の栄養がもたらす手軽な栄養補給の機能性が「寒い日に心も体も温めたい」というニーズを捉えていることが推測されます。
グラタン・ドリア部門では、「海老グラタン」が27.7%の支持を集めトップでした。プリプリの海老とクリーミーなホワイトソースの絶妙なハーモニーが、多くの消費者を惹きつけていることがわかります。2位には「チーズグラタン」(18.5%)が続きました。子どもから大人まで楽しめる王道の味が、トップ2を占める結果となりました。
スープに求めているのは「具材がゴロゴロ」が64.1%と最も高く、次いで「野菜たっぷり」が55.5%と過半数を超えています。これらの結果から、スープは単なる汁物としてではなく、具材や栄養をしっかり摂れる「食べるスープ」としての役割を求められていることがわかります。特に、美味しさと健康を両立させたいという現代のニーズが、この二大要望として鮮明に浮かび上がります。
グラタン・ドリアに対する商品への要望は、「チーズがたっぷり」が最も多く52%。チーズを楽しみたい人がとても多いことがうかがえます。次いで、「具材がゴロゴロ」が43.9%、「濃厚・クリーミー」が38.4%と続きました。これらの結果から、グラタン・ドリアには、魅力を贅沢に凝縮した「ごちそう感」が求められていることがわかります。
今回の調査からは「あったかグルメ」であるスープとグラタン・ドリアは、それぞれ異なる役割を果たしていることが明らかになりました。
心も体も温まる優しさと手軽な栄養補給を両立させたいときはクリーミーな「スープ」を。
一方、寒い日に「とろ~りごちそう感」で満足感を得たいときは「グラタン・ドリア」を。
ライフスタイルや食のニーズに合わせて選ばれている「あったかグルメ」は、今年の冬も私たちの食卓に幸せな瞬間をもたらしてくれるでしょう。
【スープ調査】
調査期間:2025年9月19日~9月25日
調査対象:2024年10月~2025年2月にスープを購入したことがある顧客
有効回答数:1,446件
調査方法:オンラインアンケート
調査データ: 全国のファミリーマート店舗におけるID-POSデータ
【グラタン・ドリア調査】
調査期間:2025年9月19日~9月25日
調査対象:2024年10月~2025年2月にグラタン・ドリアを購入したことがある顧客
有効回答数:1,468件
調査方法:オンラインアンケート
調査データ: 全国のファミリーマート店舗におけるID-POSデータ