多くの従業員や加盟店・取引先を含むビジネスパートナー、そしてステークホルダーとつながりを持つファミリーマートの企業活動において、人権尊重の姿勢は基本理念の実現であるだけでなく、持続可能な成長を支える基盤として必要不可欠な、果たすべき社会的責任であると考えています。
国内外を問わず普遍的価値観である「人権尊重」の重要性を認識し、責任ある企業として人権に対する姿勢を示すために、2020年10月に「ファミリーマート 人権方針」に制定しました。
制定にあたっては、サステナビリティ推進部を中心に、人権課題と特につながりの深い関連部門メンバーによるプロジェクトチームを立ち上げ、有識者の助言をいただくとともに、その妥当性の確認を受けながら草案を作成。サステナビリティ委員会での検討、取締役会・経営会議での承認を経て制定されました。
サステナビリティ委員会の組織構成に基づき、委員長(CMO※)による監督責任のもと、事務局となるサステナビリティ推進部が各部門と連携、情報共有を図りながら、本方針に基づく取り組みの推進・実施状況の確認を行っています。
レビューや報告、提案は、年2回開催するサステナビリティ委員会において審議し、結果は取締役会へ報告しています。
※CMO … Chief Marketing Officer(最高マーケティング責任者)
人権デューデリジェンスとは、人権への負の影響に対する継続的な活動をいいます。
ファミリーマートは国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた適切な仕組みを構築し、主に通報メカニズムから収集した情報をもとに、私たちの事業活動が及ぼす人権への負の影響に対し、ステークホルダーとの対話を大切にしながら、課題の特定・評価(P)、予防・緩和(D)、調査・分析(C)、是正・改善(A)を実施しています。
人権デューデリジェンスは社会の変化や社内外で発生した事案、新規事業実施時などに合わせて、適宜見直しを図ります。
外部有識者からの助言を受けながら、当社の事業活動で起こりうる人権リスクを想定し、発生頻度や深刻度を踏まえ、人権デューデリジェンスの計画に反映します。
外部有識者による助言、自社の事業活動や相談窓口に寄せられている声などを参考に、関連する人権リスクを抽出しています。関係者や発生頻度、深刻度を踏まえ、リスクマップを作成しました。
※深刻度(インパクトレベル)
ファミリーマートでは、全従業員やビジネスパートナーがいつでも相談・通報ができる窓口を社内外に複数設置し、人権関連の問題も含めたお声を受け付ける窓口として運用しています。
相談があった場合、通報内容の秘密を守ることはもちろん、情報提供者に対する不利益な取り扱いや報復措置の禁止も定め、通報者保護を図りながら、関連部署にて事実確認・是正・再発防止に努めることで、人権侵害となる行為の未然防止や、発生時の是正体制の確立を図っています。
また、2022年6月の「改正公益通報者保護法」の施行を機会に、ファミリーマート従業員を対象とした「内部情報提供制度(ホットライン)に関する規定」において、「直営店スタッフを含めた制度対象者の拡大」「情報提供者等に対する禁止事項」などの項目を追加し、より情報提供者が安心して通報できる制度に改定しました。
深刻な侵害につながる可能性がある事案に対してはリスク・コンプライアンス委員会を通じ、経営陣へ報告し、対応策を行うことで早期解決を図っています。
2023年度は人権関連以外の案件も含め、87件の報告がありました。
お客様相談室(社内窓口)、加盟店相談室(社内窓口)、お取引先ヘルプライン(社外窓口)
ファミリーマートで働く全従業員の「ファミリーマート 人権方針」に則った企業活動の実現を目指し、ファミリーマートでは人権に関する知識や企業活動におけるリスク・課題の教育や理解促進を行う機会を設けています。
すべての取締役・従業員を対象に、動画や外部講師による人権に関する講義を実施し、教育を行っています。「SDGs」など他テーマのeラーニングの際にも、関わりのある項目として学習教材に組み入れています。
2023年度は、全従業員を対象に「ビジネスと人権」についての講義を行いました。また、全従業員が常時確認できる学習システムに、使用テキストやその他関連教材を掲載しています。2023年度の実施率は100%でした。
研修テーマ | 主な内容 | 開催 | 実施率 |
---|---|---|---|
「アンコンシャス・バイアス」について | ・「アンコンシャス・バイアス」の基礎知識 ・自身がバイアスに気づき、対処する方法 |
2021年度 | 100% |
「ダイバーシティ推進」について | ・企業にとってのダイバーシティの重要性 ・ファミリーマートのダイバーシティ推進 |
2021年度 | 100% |
「人権に配慮した表現・コミュニケーション」について | ・企業が配慮・注意すべき表現 ・主な人権課題の基礎知識の確認 ・要注意フレーズ・企業が注意すべき対応 |
2021年度 | 100% |
「ビジネスと人権」について | ・「ビジネスと人権」に関する基礎知識 ・当社に関わりの深い人権侵害事案 |
2021年度 | 100% |
「ビジネスと人権」について | ・「ビジネスと人権」に関する基礎知識 ・当社に関わりの深い人権侵害事案 |
2022年度 | 100% |
「事例で学ぶ勉強会~店舗運営と人権」 | ・店舗運営に関わる人権リスク ※営業所長向け研修 |
2022年度 | 100% |
「ビジネスと人権」について | ・「ビジネスと人権」に関する基礎知識 ・当社に関わりの深い人権侵害事案 ・店舗運営に関わる人権リスク |
2023年度 | 100% |
人権啓発や商品表示など、人権リスクや課題ごとに、つながりの深い部門を対象に社外有識者による実務的な研修会を行っています。
人権に関する正しい知識や、様々な「ハラスメント」など人権侵害となり得るリスクを認識、軽減するために、管理職研修にも組み込んでいます。管理職自らが日々のコミュニケーションの中で配慮すべき点に気づくことで、率先した行動・業務への反映につなげます。
2022年度は、全営業所長266名を対象に、「事例で学ぶ勉強会~店舗運営と人権」を行いました。
「ファミリーマート 人権方針」をステークホルダーに周知するとともに、ビジネスパートナーに本方針をご理解・ご支持いただくため、様々な場面で働きかけを行い、サプライチェーン全体での人権リスクの予防・軽減に取り組んでいます。
店舗運営における注意点や人権の侵害になりうるリスク、対応について記載されたガイドブックを配布しました。また、外国籍スタッフの活躍が増えている状況を踏まえ、雇用契約書やマニュアルなど、日本語以外に対応したツール作成・活用を進めています。(英語、中国語、ベトナム語、ネパール語など)
店舗のストアコンピュータでも閲覧が可能な「加盟店ポータルサイト」にて、人権に関する基礎知識や店舗で起こりうる人権侵害の事例などの情報を配信し、啓発を行っています。
新任店長や複数店加盟者向けの研修において、人権に配慮した店舗運営の重要性や「ファミリーマート 人権方針」の案内、店舗に関わる事例などについて研修を行っています。
人権方針を始め、サステナビリティに関するファミリーマートの方針を定期的に通知しているほか、外部有識者による情報共有会など、人権尊重に関する認識を深めていただく機会を設けています。また、人権尊重の取り組み状況を確認するため、アンケートやモニタリング監査を実施しています。
2020年度より、取引先や子会社等を対象に人権課題に関するアンケートを実施。今後も結果や発生する課題を見極め、対象者の拡大・内容の充実を図り、継続的に実施していきます。
外国籍従業員や外国人技能実習生への教育やコミュニケーションについて、取引先から情報共有のご要望が高まっています。これを踏まえ、外部有識者監修のもと、人権問題に関してご活用いただけるツール「人権擁護のための確認項目」を作成し、一部のお取引先へ配布しました。
店頭募金「ファミリーマート夢の掛け橋募金」の寄付先のNGO/NPOと、定期的に様々なこどもの人権尊重につながる取り組みを進めています。
取り組み例
人権を尊重する行動をとる企業として、法務省が推進する「Myじんけん宣言」を行い、2023年には性的マイノリティの方々に配慮した様々な取り組みを公表する法務省の特設サイトに先進的な取り組み企業として紹介されました。誰もが人権を尊重し合う社会の実現を目指した取り組みを進めています。
各地で開催されるプライドイベントを祝して、LGBTQの理解者・支援者(=ALLY)の輪を広げること、すべての人が自分らしく活躍できる社会を目指すことへの応援として、ホットスナック袋を数量限定でレインボーカラー(6色)にデザインするなど、2021年より継続して取り組んでいます。
これに加え、2024年は「今治タオルハンカチ レインボー」「ショートソックス レインボー」を全国のファミリーマート約16,300店で発売し、売上の一部をLGBTQへの理解を深めることを目的とした支援団体「特定非営利活動法人ReBit」 へ寄付し、こどもたちへのLGBTQ教育などにも活用いただいています。
ファミリーマートでは 2013年から多目的トイレを店舗の標準レイアウトとして設置しており、現在全国で約4,700店に設置しています。また、2017年には「車いす利用者にとって外出先でトイレを探すことが難しく、コンビニの設置状況が事前に把握できれば、もっと行動範囲が広がる」とのお客さまからの声を受けて、ホームページ上での多目的トイレ設置店の検索を可能にする取り組みを開始しました。
こうして、車いすを利用されるお客さまもご利用いただける「多目的トイレ」の設置店舗の情報を、バリアフリー地図情報の提供を行う一般社団法人WheeLogに民間企業として初めて提供しました。2020年よりWheeLog!のスマートフォンおよびPC向けのアプリ上で表示しています。
新たに導入された新型マルチコピー機は、「見やすく操作のしやすい大型カラー液晶タッチパネル」「操作画面の角度を調整可能な『操作画面チルト』機能」により、利便性の向上を図りました。車いすをご利用のお客さまにも、操作しやすい仕様となっています。