あなたと、コンビに、FamilyMart

気候変動の緩和と適応

基本的な考え方

CO₂をはじめとする温室効果ガスの増加が起因と考えられる地球温暖化の影響により、世界各地で異常気象が頻発・激甚化しており、企業に対する気候変動リスクへの取り組み要請が一層高まっています。

そのような中、ファミリーマートの事業活動におけるCO₂排出量は、年間で約685万t-CO₂(2023年度)であり、なかでも自社の事業活動に関連した他社の排出であるScope3のカテゴリ1(購入した製品・サービス)、カテゴリ3(燃料及びエネルギー関連活動)、カテゴリ5(廃棄物)が多くを占めています。また、コンビニエンスストア事業は、ほかの業種に比べてエネルギー集約型の店舗構造になっており、店舗のエネルギー使用に起因する温室効果ガスも大きいため、店舗では徹底的な省エネの推進に加え、再生可能エネルギーを積極的に利用し、脱炭素社会の実現に貢献します。

このように、気候変動に対して的確な対応策を講じるとともに、積極的な情報開示にも努めます。

ファミマecoビジョン2050に基づく目標

ファミリーマートは、持続可能な社会の実現に貢献するため、2030年及び2050年に向けた中長期目標として「ファミマecoビジョン2050」を策定しています。「温室効果ガス(CO₂排出量)の削減」では、店舗運営に伴うCO2排出量について、2013年度比で2030年までに50%削減、2050年までに100%削減を目指しています。2023年度は計画33.0%削減に対して実績34.1%削減と、計画を上回る結果となりました。

 

温室効果ガス(CO2)削減

店舗運営に伴うCO2排出量
(1店舗当たり)(2013年対比)

203050%削減
2050100%削減

取組内容

省エネ型機器の導入により、店舗の電気使用量を抑制し、CO2排出の削減を進めます。

加えて、仕入から配送、販売、廃棄等サプライチェーン全体の排出量を算出、削減に向けた取り組みを進めます。

店舗の取り組み

店舗でのオペレーション上の取り組み

店舗では、これまでもコスト意識をもって節電に取り組んできましたが、電力需給のひっ迫や電気代の高騰を受け、節電につながる様々な対策に取り組んでいます。

これにより、2023年度における店舗電力使用量は前年比96.7%と大きく削減する結果となっています。

飲料用冷蔵庫の照明消灯

  • 対象店舗:全国


    ※店舗設備、環境により未実施の店舗もあります。

    実施期間:2022年12月より継続実施

  • 節電のため照明を消灯した飲料用冷蔵庫の例

店内天井照明の照度調整(60%ダウン)

  • 店内ATM看板・店内イートイン・店外殺虫機等における電源や一部照明の消灯も実施

    対象店舗:全国


    ※店舗設備、環境により未実施の店舗もあります。

    実施期間:2022年6月より継続実施

  • 店内天井照明の限度調整(60%ダウン)

  • また、これまでも継続的に実施してきた節電への取り組みとして、店舗照明設備におけるこまめな消灯や店内空調温度の調整、冷蔵ケースのフィルター清掃があります。

  • 節電チェックポイント

    その他、節電の取り組み(一例)

節電機器の導入

太陽光発電の取り組み

  • 店舗インフラを活かして店舗の屋根を有効活用した太陽光パネルを設置し、再生可能エネルギーの積極採用を進めています。現在は、既存の太陽光パネル(売電)を店舗での自家消費へ切り替えと太陽光パネル(自家消費)の新規設置を進めています。

  • 太陽光パネル

    太陽光パネル

LEDの導入

店内照明

2011年11月から店内照明のLED化を開始し、2022年8月には、全店舗の店内照明のLED化を完了しました。さらに店内を5つのゾーンに分けてそれぞれのゾーンの明るさを自動調整する調光システムを導入しています。

例えば、太陽光が入ってくると蛍光灯の照度を抑えたり、昼間と夜間で調節したり、きめ細かな調整を行うことで、快適さと省エネルギーの両立を図っています。

 

看板

ファミリーマートは、2004年にコンビニエンスストアとしては初めて、LEDを採用したファサード看板を導入し、2022年度には全店舗のLED化を完了しました。現在は、LED看板のさらなる省エネ化に向けて技術開発と実証実験に取り組んでおり、従来の蛍光灯看板に比べて約70%の省エネを実現しています。

 

  • 駐車場照明

    駐車場照明は2013年2月からLED照明を導入しています。2008年から導入したセラミックハライドランプに比べ消費電力を245wから80wに削減、寿命は15,000時間から60,000時間に伸長しています。

     

    • 松山インター店へ導入

      2004 年松山インター店に導入
    • LED駐車場照明

      LED 駐車場照明

CO₂冷媒を使用した冷凍・冷蔵システム導入推進

  • ファミリーマートでは、代替フロンを使用している冷蔵・冷凍・空調設備には、フロンの大気放出防止を目的に、環境省指定の「簡易点検の手引き」記載の点検周期(簡易検査四半期に1回以上、定期点検1年に1回以上)を徹底し、定期点検時は機器等に十分な知見を有する者による実施を行っています。また、設備を廃棄する際には、フロン回収業者に処理を委託し、回収・破壊処理の徹底管理にも努めています。

    加えて、地球環境への配慮、店舗運営にかかる消費電力の削減を目的に、店舗の冷蔵・冷凍システムにおいて使用する冷媒ガスに自然冷媒(CO2)を使用した機器の導入を推進しています。

    CO2冷媒を使用した冷凍・冷蔵システムは年々導入店舗数を拡大していますが、今後は新店舗及び冷凍機更新を伴う改装店舗への50%以上導入を目標として掲げ、導入店舗数を拡大していきます。

  • CO₂冷媒を使用した冷凍・冷蔵システム導入推進

    CO₂冷媒を使用した冷凍・冷蔵システムを導入

物流の取り組み

物流の効率化

効率的なルート設定による配送コースや配送車両台数の削減を進めております。2022年10月からは、自社開発したAI配送シミュレーターの本格稼働を行い、さらなるCO₂の削減に取り組んでいます。

環境配慮車両の導入

  • 物流面での環境への取り組みとして、2030年までに配送トラックから排出されるCO₂を30%削減(2017年対比)することを目標としています。

    ファミリーマートでは、1998年度よりCNG(圧縮天然ガス)車、ハイブリッド車といった環境対応車両を導入するなど、配送車両の低公害化に積極的に取り組んできました。

    現在は、クリーンディーゼル車両(環境配慮型車両)の導入や、配送の効率化など、様々な施策を進めてきた結果、2023年度の配送トラックから排出されるCO₂は14.2%削減(2017年対比)となりました

    また、2022年には、コンビニエンスストア初の試みとして、バッテリー交換式小型EVトラックの配送実証を開始しました。軽油使用の内燃車と比較して、トラック1台あたり、年間約6.1トンのCO₂削減効果が見込まれます

    今後も、EV(電動)トラックやFCV(燃料電池)トラックの導入、環境配慮型燃料の導入実験など、新たな取り組みを積極的に進めていきます。

  • バッテリー交換式EVトラック

環境配慮車両などの主な取り組み

①クリーンディーゼル車両の導入

・既存のディーゼル車両と比べて、CO₂の排出量が年間、一台当たり約1トン削減されるクリーンディーゼル車両の導入を進めています。現在、約4000台の車両が走行しております。

②EVトラックの走行実証

・2019年1月から、EVトラックの実証実験を行っています。

・2022年から、バッテリー交換式小型EVトラックの配送実証を行っています。

③FCトラックの走行実証

・2021年11月、愛知県岡崎市でFC小型トラックの走行実証を実施。

・2023年1月以降、NEDOの助成事業に参画し、福島県と東京都でのFC小型トラックの導入実験を開始。

④環境配慮型燃料の導入実証

・2021年6月から、横浜市内の配送センターの一部車両で、軽油の代わりに、廃食油などを原料とした再生可能資源由来の燃料を、100%使用する実証実験を進めております。

チルド商品と定温商品の同時発送

  • 様々な温度帯の商品を取り扱うファミリーマートでは、デザートやチルド弁当などのチルド商品(3°C〜8°C管理)と、弁当・パンなどの定温商品(18°C〜22°C管理)を同時に掲載できる2室式冷蔵庫を使用することで、配送効率の向上と車両数の削減に努めています。

    • 2室式冷蔵庫の様子

    • 前室、後室でそれぞれに商品に応じた温度設定ができ、更に荷重により各室の広さを変えられます。

  • 温度帯別共同配送の仕組み

サプライチェーンの取り組み

ファミリーマートのマテリアルフロー

ファミリーマートは、CO₂排出、廃棄物、排水など、様々な環境負荷を伴いながら事業を継続してきました。これらの環境負荷を把握・削減することから、持続可能な社会づくりへの貢献を進めていきます。

ファミリーマートのマテリアルフローは、上流から、原材料メーカー、製造メーカー、物流センター、配送車、店舗、お客様、という大きな流れとなっており、また、ファミリーマートの本社や事務所から店舗への流れがあります。それぞれの段階で、原材料や包材、電気や水、ガソリンや軽油、といったインプットがあり、そこから排出されるCO₂や廃棄物、排水などのアプトプット、環境負荷があります。

サプライチェーンCO₂排出量※の管理

温室効果ガスによる環境への負荷は、ファミリーマートが直接管理することができるもののほか、原材料の調達、商品製造、物流、販売、廃棄、リサイクルまでのサプライチェーンにおける各段階に及んでいます。ファミリーマートはこれらの環境負荷を適切に評価するため、環境省の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.6)」にもとづいて、サプライチェーン全体におけるCO₂排出量(Scope3)を算定しています。

今後もデータ収集の精度向上、算定範囲の拡大に取り組み、算定結果を分析して、サプライチェーン全体のCO₂排出量削減に向けた取り組みを推進していきます。

 

※サプライチェーンCO₂排出量:事業者自らの排出だけでなく、原料の調達から製品が最終消費者に届くまでの一連の流れを含めた事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量

サプライチェーン排出量

  1. 事業者自らの燃料の使用などによる温室効果ガスの直接排出(社有車のガソリン使用など)
  2. 他社から供給された電気の使用などに伴う温室効果ガスの間接排出(本社、事務所、店舗の電気使用など)
  3. Scope1及びScope2以外の企業活動に伴う温室効果ガスの間接排出

環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:算定時の参考資料

2023年度のサプライチェーン総排出量は6,848,713トンCO₂でした。内訳は、スコープ1直接排出が59,022トンCO₂で0.86%。スコープ2エネルギー起源の間接排出が983,749トンCO₂で14.36%。スコープ3その他の間接排出が5,805,941トンCO₂で84.77%でした。

集計範囲:原則2023年3月~2024年2

注)環境省の「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出などの算定のための排出原単位データベース(Ver.3.4)」に基づき算出

  • 1. 直接的な温室効果ガス(GHG)排出量(スコープ1)

    • 社有車の燃料
      輸送【燃料法】の排出原単位を適用
    • フロンの使用時排出量
      フロン排出抑制法に基づき「算定漏えい量(t-CO₂)」を使用。(算定対象期間は当該年4月~翌年3月)

    2. 間接的な温室効果ガス(GHG)排出量(スコープ2)

    • 温室効果ガス排出量
      算定・報告・公表制度に基づく算定方法・排出係数一覧「電気事業者別排出係数一覧」を使用

    3. その他の間接的な温室効果ガス(GHG)排出量(スコープ3)

    Cate.1

    [5]産業関連表ベースの排出原単位②金額ベースの排出原単位購入者価格ベースを適用

    Cate.2
    [6]資本財の価格当たり排出原単位<事務局>を適用

    Cate.3
    電気:[7]電気・熱使用量当たりの排出原単位を適用
    ガソリン・軽油:LCIデータベースIDEAv2(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)バージョン:v2.3

    Cate.4
    [2]温対法算定・報告・公表制度における【輸送】に関する排出係数①燃料法を使用

    Cate.5

    リサイクルされるもの
    [8]廃棄物種類・処理方法排出原単位を適用

    焼却されるもの
    LCIデータベースIDEAv2(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)バージョン:v2.3

    システム機器廃棄物
    [9]廃棄物種類別排出原単位を適用

    Cate.6
    [11]交通費支給額当たり排出原単位、[12]宿泊数当たり排出原単位を適用

    Cate.7
    [11]交通費支給額当たり排出原単位を適用

    Cate.11
    充填燃料の燃焼に伴う排出係数を温対法の排出係数一覧から適用

    Cate.12
    [8]廃棄物種類・処理方法別排出原単位
    ※Cate.8,9,10,13,14,15は算定外

2023 年度 温室効果ガスカテゴリ別排出量

ESGデータより2023年度のカテゴリ別排出量データ掲載

スコープ、カテゴリ CO₂排出量 比率

SCOPE.1 直接排出 ③

59,022 0.86%

SCOPE.2 エネルギー起源の間接排出 ② ⑥

983,749 14.36%

SCOPE.3 その他の間接排出

5,805,941 84.77%

Cate.1 購入した製品・サービス ① ②

5,203,694 75.98%

Cate.2 資本財

178,684 2.61%

Cate.3 SCOPE.1,2に含まれない燃料
及びエネルギー関連活動

154,774 2.26%

Cate.4 輸送、配送(上流)④ ⑤

103,182 1.51%

Cate.5 事業から出る廃棄物 ②

157,702 2.30%

Cate.6 出張 ②

1,961 0.03%

Cate.7 雇用者の通勤 ②

1,513 0.02%

Cate.11 販売した製品の使用

418 0.01%

Cate.12 販売した製品の廃棄 ⑥

4,013 0.06%

合計

6,848,713 100%

第三者検証

ファミリーマートはサプライチェーン排出量(スコープ1~3)の算出結果を正しく評価・検証するために第三者検証を受けています。

2023年度における温室効果ガス排出量の検証を株式会社日本環境認証機構(JACO)に依頼した結果、サプライチェーン全体でのCO₂排出量は、スコープ1が59,022t-CO₂、スコープ2が983,749t-CO₂、スコープ3が5,805,941t-CO₂であることが認められました。

第三者検証の結果を受けて、今後も公表数値の正確性と社内外からの信頼向上につなげる取り組みを継続します。

イニシアチブへの賛同

TCFD提言への賛同

TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)は、G20財務相・中央銀行総裁の要請により、金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)が立ち上げたタスクフォースです。

ファミリーマートは、2020年2月にTCFDの最終報告書の趣旨に賛同し、TCFDが推奨する組織運営における4つの中核的要素「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」に関する情報開示を行っています。

SBT認定

ファミリーマートが設定した温室効果ガス削減目標は、パリ協定の目指す「2°C目標」に対し、科学的根拠に基づいた「2°Cを十分に下回る」目標として、「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」により認定されています。

 

※「SBTイニシアチブ」:国際NGOのCDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)による共同イニシアチブです。気候変動による世界の平均気温上昇を、産業革命前と比べ、最大でも2度未満に抑えるというパリ協定の目標に向けて、科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標(SBT)の設定を推進しています。

認定された温室効果ガス削減の目標

  • Scope1+2:2030年までに2018年比で30%削減

    Scope3:2030年までに2018年比で15%削減

    注)
    Scope1:自社での燃料使用による直接排出量
    Scope2:自社が購入した熱・電力の使用による間接排出量
    Scope3:Scope1、2を除く企業活動のサプライチェーンの排出量(ファミリーマートの目標はカテゴリ1「購入した製品・サービス」が対象)

  • SCIENCE BASED TARGETSロゴ

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