ファミリーマートは地域交流の活性化拠点となることを重視し、毎日多くのお客さまを店舗でお迎えしています。地域ごとに異なる課題と向き合い、お客さまの多様なニーズに応えていくためには、多様なストアスタッフと、その店舗を支える多様な社員一人ひとりが活躍すること、その多様性を活かし合い解決策を見つけていくことが不可欠と考え、ダイバーシティ推進を重要な経営戦略と位置付けて取り組んでいます。
「like Family」には、「違いを当たり前に受け入れて意識もせず、そして困っている時には手を差し伸べてみんなで支え合う、そんな“家族”のようでありたい」という思いが込められています。
ファミリーマートで働く一人ひとりが、活き活きとかがやいて、自分らしく働くことができ、いつまでも働きたいと思える企業となること。そしてそこから新しい価値を生み出し、お客さまから支持され続けるファミリーマートを私たちは目指しています。
ダイバーシティを重要な経営戦略として確実に推進するために、経営陣で構成し、社長が委員長を務める「ダイバーシティ推進委員会※」のもと戦略的に取り組んでいます。
全社員が多様性を認め合い、当事者意識を持って行動していくために、「トップコミットメント」「正しいリーダー」「ボトムアップ」の3点を軸に活動を展開しています。
※ダイバーシティ推進委員会:社長が委員長、経営陣でメンバー構成される委員会。企業価値向上のために多様性を活かした組織風土の実現に向けたKPIを設定し、KPIマネジメントを実施しています。
情報化社会の進展・人々の思考・ライフスタイルの変化など、働き方の多様化が一段と加速する中で対応していくためには、周りの環境や状況の変化に応じた改善策を見出し、自分を変え、周りを変えられる人・組織の実現が不可欠です。
同時に「ここにいていい」「自由に発言していい」という安心・安全な場づくりは、多様性を活かし合うための組織風土の必須条件です。新しい価値創出のために、変化に対応し、アイデアを出し合い、失敗から学ぶ風土を醸成していきます。
ダイバーシティ推進の重要性を理解し、価値創出できる組織にしていくために、2017年より経営層を含めた管理職以上を対象に、段階的に研修しています。これに加え、アンコンシャス・バイアス、ハラスメントなどテーマを特定した研修も行い、ダイバーシティ&インクルージョンをベースにとした組織風土が形成されるよう努めています。
会社の風土を変えていく一番の原動力は、部門長やチームリーダーの意識です。リーダー自らが自身と仲間のワーク・ライフ・バランスを重視し、率先してメリハリのある働き方をする必要があるという思いからイクボス企業同盟に加盟し、イクボス宣言を行いました。
また、部下の多様な働き方をサポートし、多様なちからを活かすことができる上司を育成する研修を実施しています。
注1)イクボス:部下のワーク・ライフ・バランスを考え、そのキャリアと人生を応援しながら組織の業績・結果も出しつつ自らも仕事と私生活を楽しむことができる経営者・管理職のこと。
注2)イクボス企業同盟:「イクボス」の必要性を認識し、積極的に自社の意識改革を行って新しい時代の理想の上司を育てていこうとする企業のネットワーク。
「全員の力で成果を残し続けるチームになる」ことを目的として、一人ひとりの多様性を活かし新たな価値創造に挑む地区委員会を全部門で立ち上げています。各部門のトップが委員長となり、基本理念に基づいた活動をしています。
主に地区委員会活動から「多様性を活かし」「新たな価値を生み」「成果を残した」取り組みを公募するアワードを年に1回開催しています。自らの活動の成果を発表し称賛し合う場、ナレッジ共有の場、1年間の集大成としての役割も果たしています。
2023年度は、リアルとオンラインのハイブリットで開催し、最終審査に残ったチームがプレゼン動画を作成、全社員の投票で最優秀賞を決定し、その取り組みを称えています。
組織を超えた緩やかなつながりを通じて、多様な力を活かし合い、ダイバーシティを「体感、実感」してもらう場として開催しています。議論する風土醸成、知的コンバット、イノベーションへつなげることを目指しています。
主に取り組んできた「女性活躍推進」に加え、「LGBTQ」「障がい者活躍」「外国籍」へも取り組みの領域を広げ「真の多様性活躍」として、多様性の先にある「インクルージョン」についても考えていきます。
ファミリーマートは、「地域に寄り添い、お客さま一人ひとりに、家族のように」多様なお客さまに愛していただけるコンビニエンスストアを目指しています。そのためには女性社員の力が重要であり、女性活躍推進は最重要課題として、男女問わない働き方改革やアンコンシャス・バイアスのコントロールを中心とした風土醸成など、女性社員の能力発揮のための環境づくりを行っています。
ファミリーマートは女性活躍推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定し、2026 年 2 月末までの目標を設定しています。
社員一人ひとりの多様性をより理解、受容していくためにLGBTQの取り組みを行っています。「正しい知識と理解醸成」「安全・安心な場作り」の2つの軸で取り組んでいます。
2024年6月には、同月のPRIDE月間と合わせて、LGBTQの理解者・支援者であるALLYの輪を広げることを目的に、「レインボーアクション」を社内展開し、約1,500人がALLYを表明しました。ALLYの輪が広がることで、職場の心理的安全性を高め、気兼ねなく発言できる風土の醸成を目指しています。
「ファミリーマートから、ALLYの輪が、太陽の光のようにどこまでも広がっていくように」との思いを込めました。
LGBTQ について知ることは、社員一人ひとりが多様であることを知るひとつです。まずは「LGBTQ を正しく知る」ことから始めています。
LGBTQなど性的マイノリティへの理解や支援の意思を表明するALLYを増やす取り組みを進めます。誰もが自分らしくいられる職場の実現、加盟店・お客さまへできることは何かを、一人ひとりが考え、行動し、実現していきます。
ALLYを表明した社員へステッカーを配布し、ALLYを見える化しています。また、社員が自主的に参加するALLYコミュニティも運営しています。
ALLYの輪が広がることで、組織の心理的安全性が高まり、気兼ねなく発言できる風土を醸成していきます。
同性パートナーにおいても、法律上の配偶者と同様の社内制度や福利厚生が適用されるよう人事制度に導入しています。必要な届け出を行った従業員は、同性パートナーおよび同性パートナーのこどもや両親等を対象とした慶弔休暇や育児介護休暇、各種諸手当などの社内制度の適用を受けることができます。
2023年3月より、事実婚・同性パートナーの方もすべての契約形態において、加盟ができるようになりました。
2023年7月、日本における婚姻の平等(同性結婚の法制化)を求めるキャンペーン「Business for Marriage Equality」に賛同しました。
LGBTQの理解者・支援者であるALLY(アライ)の輪を広げること、すべての人が自分らしく活躍できる社会を目指すことへの応援として、2021年より看板商品「ファミチキ」をイメージしたホットスナック袋を、性の多様性やLGBTQ等を意味するレインボーカラー(6色)に変更し、数量限定で展開しています。
2024年度は、「レインボーファミチキ袋」と合わせて「今治タオルハンカチ レインボー」「ショートソックス レインボー」を全国のファミリーマートで発売しました。これらの売上の一部は、認定特定非営利活動法人ReBitへ寄付し、教育現場や学生・こどもたちのために、LGBTQをはじめ多様性について考える授業や研修に活用されています。また、ファミリーマートが行う「ありのままの自分プロジェクト」とも協働しています。
「PRIDE指標2023」にて、最高評価の「ゴールド」を4年連続受賞しました。
注)PRIDE指標は、LGBTQにとって働きやすい職場づくりの実現を目的に、任意団体「work with Pride」が2016年に策定した、日本で初めてとなる職場におけるLGBTなどの性的マイノリティに関する取り組みの評価指標です。
愛知県岡崎市と締結する「包括連携協定」に基づき、地域密着の取り組みの一環として、2021年3月から、岡崎市が開設した「LGBT電話相談」の案内カードを岡崎市内の店舗に設置しています。その取り組みが評価され、2021年度の「ベストプラクティス」に選定されました。
障がいのある社員が活き活きと働くことができるよう、店舗、本社、営業所、農場など職域の拡大を図っています。また、適性を考慮した配置を行い、評価制度によりステップアップが可能となっています。必要であれば支援機関との連携強化を進め、個性を活かし活躍できる職場を創出しています。
障がい者雇用率は3.19%(2024年6月1日時点)となっており、今後も雇用を積極的に行うとともに、多様性を活かしあう組織風土作りを推進していきます。
東京都が企業などと連携し、心のバリアフリーに対する社会的気運の醸成を図るため実施しているのが「心のバリアフリーサポート企業」連携事業です。この事業において、ファミリーマートは先進性、独自性、波及効果等の観点から特に優れた取り組みを行っている企業として、令和四年度「心のバリアフリー好事例企業」に認定されました。
ファミリーマートの持続的な成長の実現に向け、新たな人財を採用し、専門性の高い人財育成に取り組む一方で、既に高い専門性やスキルを有し、実績を上げてきたシニア人財の活性化にも積極的に取り組んでいます。
2021年度に再雇用制度を大幅に見直し、シニア社員に求める役割と処遇をより細分化して再定義しました。
これにより、それぞれのスキルや能力、パフォーマンスに合わせた処遇とすることで、モチベーションアップと活躍の場の拡大を図りました。
その結果、2024年3月現在、152人のシニア社員(男性127人、女性25人)が定年後も勤務を継続して活躍しています。
より専門性の高いハイパフォーマーなシニア人財を「マイスター社員」として処遇し、積極的に後進の育成やノウハウの伝授に関わる機会を設けることで、シニア社員本人のモチベーションアップと若手社員の育成との相乗効果を図る、「マイスター制度」を運用しています。
賃料交渉や法人部門営業、品質管理部門などの各部門において高いスキルを有しているシニア社員23名がマイスターに任命され、各部門で活躍しています。
誰もがライフステージの変化にかかわらず能力を発揮し、働き続けられる組織・風土づくりを進めるため、様々な支援を行っています。
主な制度 | 内容 | |
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育児支援 |
妊娠時短勤務 | 妊娠12週から時短勤務可能 |
配偶者出産休暇 | こどもの出生時に取得できる有給の特別休暇 | |
育児休職 | こどもが4歳になるまで取得可能 | |
育児勤務(時短勤務) | こどもが中学校3年生まで時短勤務可能(管理職や営業職など、職位や職務内容問わず利用可能) | |
育児シフト勤務 | 始業時間を30分単位で、最長前後1時間まで繰下げ、繰上げが可能 | |
すくすくサポート | こどもが1歳児までに復職した場合の保険料の補助 | |
すくサポプラス | こどもが1歳児までに復職した場合で保育園に入園できなかった場合のベビーシッター費用等の補助 | |
子の看護休暇 | 就学前のこどもの病気看病時に取得可能な有給休暇。半日単位でも取得可能 | |
すくすく休暇 | こどもが小学校1年生まで毎年取得できる、5日間の有給育児休暇 | |
社有車による保育園所への送迎 | 営業職など社有車通勤をしている社員は、就学前のこどもを社有車で保育所等へ送迎することが可能 | |
介護支援 | 介護休職 | 通算で365日まで、3回分割取得も可能 |
介護勤務(時短勤務) | 介護が必要な間は、期間の定めなく時短勤務が可能 | |
介護シフト勤務 | 始業時間を30分単位で、最長前後1時間まで繰下げ、繰上可能 | |
介護休暇 | 年に5日まで、半日単位でも取得可能※1日につき0.5日分の給与控除あり | |
多様な 働き方 支援 |
転居配慮制度 | 育児・介護による時短勤務の社員は、転居を伴う異動が免除される。また、育児による時短勤務終了後も、中学3年生までのこどもがいる社員はその対象とする |
ジョブリターン | 介護・育児・結婚・配偶者の転勤の理由で退職した社員の再入社制度 | |
その他 | ・不妊治療・同性パートナーシップ等人事制度導入
・卵子凍結保管受託サービス(福利厚生制度) |
ファミリーマートは次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定し、2029 年 2 月末までの目標を設定しています。
産休・育休を取得する社員やこどもが生まれた社員が上司との面談サポートや、育児休職から復帰する前の復職時研修など、切れ目のない支援を行なっています。
また、男性が育児に参加することは、本人のワーク・ライフ・バランスの充実や会社全体の働き方改革にとって重要であると考え、男性でも取得しやすい育児休暇制度を整え、育児参加促進に取り組んでいます。
性別に関わらず、育児休職から復職する社員とそのパートナーを対象に、「ライフ&キャリアデザインカレッジ」を実施しています。専門講師による「復職後に育児と仕事を両立するための心構え」を学び、また復職した経験を持つ先輩社員とのディスカッションを通じて、より具体的なイメージをもって意欲的に復職の準備を進められるようにしています。
2021年度よりオンラインにて開催しています。
男性の育児参加を支援する制度としては配偶者出産休暇とすくすく休暇があります。
すくすく休暇は、小学校1年生までのこどもがいる社員が、毎年取得できる5日間の特別有給休暇です。卒園式や入学式の際にも利用可能で、利用した男性社員のご家族からも喜びの声が寄せられています。2020年度からは、対象であるすべての社員の取得促進に向けて取り組みを開始しています。このような取り組みを通じて、積極的に育児休職を取得する男性社員も増えています。
少子高齢化が進む中、介護に直面しても仕事と両立していけるように、期間の定めがない時短勤務制度の導入などの拡充を行っています。
また、実際の介護者の声や制度を分かりやすくまとめたハンドブックを全社員に配布して、いざ介護に直面しても困らないように、前もって意識を持ってもらえるようにしています。
ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む企業を認定・表彰する日本最大のアワード「D&IAward」において、2021年度より3年連続最高位の「ベストワークプレイス」に認定されています。また、2022年度は、認定企業の中でも、ダイバーシティスコアの点数が高く、ロールモデルとなるような取組みをする企業に贈られる「D&I Award 大賞(大企業部門)」を受賞しています。
受賞理由
<2022年度 D&Iアワード大賞(大企業部門)受賞理由>
企業規模が大きいからこそD&I浸透は難しいが、子どもが生まれた社員と上司が話し合う機会を作る面談シートの作成と社内制度の周知、社内アワードの実施、各部門・地域のSDGsリーダー選出、全社的なプログラムの開催などで、全国の社員を巻き込む。障害のある社員の活躍にも積極的だ。コンビニエンスストアという誰もが利用できる場所でD&Iを推進していることは、社会的インパクトが大きい。(D&I Award運営事務局)
「D&IAward」は、株式会社JobRainbowが主催するダイバーシティ&インクルージョンに取り組む企業を認定するアワードです。(2021年度初開催)「ジェンダー」「育児/介護」「障がい」「多文化共生」「LGBT」の5つの要素から構成される「ダイバーシティスコア」を指標として、取り組み状況に応じて認定が授与されます。